福祉業|従業員からの不当解雇の訴えに関する顧問弁護士活用事例
メンタルヘルス不調がある職員について休職扱いにした後、休職期間満了後に解雇してしまったために不当解雇を理由として地位確認とバックペイや慰謝料の支払いを求められたが、解雇の撤回と数か月のバックペイの支払いで解決できた交渉事例
概要
業種
介護事業
相談内容
他の職員や利用者との間でトラブルを繰り返していた職員がメンタルヘルス不調であることが判明して休職にしたものの休職期間満了時に、問題の職員が当方が求める診断書を提出しなかったことから解雇してしまった。これに対して職員の代理人弁護士から解雇の撤回や金銭を要求する文書が届いたがどうすべきか。
解決方法
交渉案件でかつ不当解雇をめぐるバックペイなどの支払いは会社がかけている損害保険でカバーできることから可能な限り交渉で、かつ保険適用が得られるような費目で職員側に金銭を支払う和解にて終わらせるという方針を立てて、このスキーム通り解決した。
解決までの期間
2か月
事案内容
事案と結果
メンタルヘルス不調がある職員を休職にしたところまでは良かったのですが、満了時の対処について就業規則には根拠がなく、また理由が不十分な解雇という処理をしたことから法的な紛争に発展した事例です。
交渉案件として受任し、そのタイミングで会社から顧問契約をいただいて相手方代理人と交渉して裁判や労働審判に至ることなく和解成立によって解決できました。会社の手出しした金銭は損害保険の免責額である10万円+アルファ程度で済みました。
事案の詳細
会社が解雇をめぐる職員とのトラブルの際にバックペイや解決金を出してくれる損害保険に加入している事例でした。このようなケースの場合、保険会社の交渉の経緯や和解書を事前に共有しておかないと保険金が出ないことがありますので依頼先(顧問先)企業はもちろん損害保険会社の担当者とのやり取りが必要な案件でした。
弁護士の対応・アドバイス
ご相談いただき、交渉案件として受任するタイミングで顧問契約をいただいた会社様の代理人として職員側の代理人弁護士と交渉しました。並行して会社がかけてる損害保険の担当者とも受任から交渉の経緯、和解案についての共有、最終的な和解案の内容で和解した場合に保険金が支給されるのかどうかを協議しながらの処理となりました。
相手方である職員の代理人弁護士との間で和解内容について交渉し、和解案を作成するタイミングで、保険会社の方で事前に保険金が支払われるという決済をとっていただいた上で相手方代理人との間で和解を成立させました。このことから会社の手出し額は10万円+アルファ程度で済みました。なお、和解内容としても解雇の撤回と解雇時から現在までの2か月の賃金の支払い等で済む内容で、この支払いの大部分は損害保険でカバーされ、手出しが10万円+アルファで収まったものです。
最近は、法人向けの損害保険が充実しており仮に紛争において解決時に金銭の支払いが必要となる場合も損害保険でカバーできるケースが少しずつ増えてきています。しかし保険会社との連絡を密にしておかないと後から損害保険でカバーされると思って、相手方に支払いを約束した解決金が損害保険ではカバーされずに全額を手出しすることになりかねません。損害保険の存在を前提にその適用の有無の判断、保険金が下りる条項の作成等について保険会社の担当者とのやり取りが密にできたのはスポットの交渉案件としてではなく、紛争の当初に顧問契約をいただいたことと無縁ではないと思います。
顧問弁護士として本件のような労使紛争をめぐる対応についてお役に立てる場面があると思いますので、日常的に相談できる体制を整え、労使紛争対応の精神的な負担を軽減するために顧問弁護士を置かれるのを検討されてはいかがでしょうか。