医療業｜損害賠償請求対応に関する顧問弁護士活用事例
元患者から施術内容にミスがあったとして慰謝料等の名目で７００万円を超える損害賠償を請求する民事訴訟を提起されたものの，１５０万円強のい支払いを命じる判決が下されて確定して解決できた案件
概要
業種
美容外科クリニック
相談内容
顧問先のクリニックから「過去に施術をした患者から施術にミスがあったとして損害賠償を請求する内容の民事訴訟を提起された」との相談を受けた。
解決方法
顧問先クリニック（被告）の訴訟代理人弁護士として主張・立証を行い，施術のミスこそ一部認定されたものの元患者（原告）の主張する損害額の大部分について請求を排除する内容の判決が裁判所より下されてそのまま判決が確定する形で解決できた事例
解決までの期間
約１年半（訴訟提起から判決確定まで）
事案内容
事案と結果
美容クリニックにおける施術について施術当初の医療水準からどの程度の施術がクリニックに要求され，その程度に達する施術が行われたのかが争点となり，仮に施術に不注意があったとしても，それと因果関係のある元患者の損害がどこまでかという因果関係論も争点となりました。
施術について当時の医療水準からして被告である顧問先クリニックの不注意が認められた部分はあったのですが，損害論，因果関係論の部分については顧問先クリニックの主張を多く採用した判決をもらうことができました。
事案の詳細
訴訟に先行して，訴訟での請求額よりも高額な損害賠償請求が代理人弁護士から行われたことがあり，その時点から顧問先クリニックの代理人弁護士として元患者の請求を排除する方向で活動していましたが，元患者の代理人弁護士からの連絡が突然途絶えて数年間連絡がない時期が続きました。このことから元患者は請求をあきらめたものでないかと期待していた面はありましたが，数年を経て元患者の代理人弁護士（従前の交渉段階とは別の弁護士）を通じて民事訴訟が提起されるという流れになったものです。
本来であれば訴訟提起前に和解をすること，訴訟提起後に裁判所の心証を踏まえて和解をすることも考えられるケースですが，顧問先クリニックの希望は施術にミスがあったのかどうか，施術にミスがあったとすればどこにあったのか，仮にミスがあったと判断する場合にはそれと因果関係のある損害について裁判所はどこまでを認定するのかを知りたいという希望がありました。
そこで訴訟提起後についても裁判所からの和解案に応じずに判決を下してもらいました。そして，それに顧問先クリニックは控訴しない形（原告側も控訴しませんでした）で判決確定により解決することとなりました。
弁護士の対応・アドバイス
本件で当事務所の弁護士が行った対応は前述のとおりです。
一般論としては紛争について訴訟前に和解で早期解決すること，訴訟提起後に合理的な和解案が裁判所より提案されれば和解での解決を検討することが望ましいと考えております。
しかし本件のように裁判所の判断を得ないと，そもそも当方に不注意があったのか，あったとすればどの点にあったのか，不注意と因果関係のある損害はどこまでか等について顧みて改善することができない部分があります。
裁判所の判断による白黒をつけなくてはいけないケースも場合によってはあるということであり本件は，その典型例だと考えます。
法的紛争に巻き込まれるのは医療機関・クリニックを経営されている医師の皆様にとっては苦痛だと思います。紛争の渦中にいることのストレスから解放されたいという気持ちが強くて不当な請求でも応じてしまって楽になりたいというマインドが生じがちです。しかし相手方の不当な請求に屈してはいけない場面も多く，目の前の解決を優先して不当な要求に応じてしまうことが別の紛争を誘発してしまうケースもあります。本件のような患者からの不当に高額な請求は，その一例です。
不当な請求を排除するために徹底的に争う場面で頼りになるのは，医療の玄人であることではなく素人であることを自覚しつつ，専門家である医師の先生方の知見を得ながら法的な紛争を解決するためにベストを尽くす弁護士ではないかと思います。
医療法人やクリニックを経営されている医師の先生方からの相談にも日常的に対応しており，専門性の高い医療関係の訴訟についても先生方の協力を得ながら粘り強く解決に向けていくことをモットーとしている当事務所の弁護士を貴法人，貴クリニックの顧問弁護士として依頼することも検討されてはいかがでしょうか。
