医療業|ハラスメント対応に関する顧問弁護士活用事例
不祥事が疑われる職員について事実確認をしたところパワハラを理由として、慰謝料等を請求する民事訴訟を提起されたものの請求を全て棄却させた事例
概要
業種
医療法人
相談内容
入所者の金銭を盗んだことが疑われる職員に対して事実確認を行ったところ、犯人扱いされて精神的苦痛を被った等として慰謝料を請求する訴訟を提起されて困っている。
解決方法
既に民事訴訟を提起されている案件でしたので、被告側として原告の請求には法的な根拠がないことを反論して原告側の請求を全部棄却する判決を裁判所からもらうという方向で対応しました。
解決までの期間
1年4か月
事案内容
事案と結果
被告側である法人側が原告の不祥事の調査の際に原告が主張しているような発言や対応をしたのか、仮にそのような発言や対応があったとしてそれがパワハラ等の不法行為に当たるかが争点となった訴訟になります。
事実関係やその法的評価を争い、職員であった原告側の請求は全て棄却するとの全面的な勝訴判決をいただき、この判決に原告が控訴せずに確定しました。
事案の詳細
事実関係については原告側が録音データを証拠として提出したため、どちらかというと被告側の発言などの法的評価が問題となりましたが、裁判所は被告側の調査や調査時の発言は不法行為とは評価できないので慰謝料等の原告の請求は全て棄却するとの判断をしたものです。
弁護士の対応・アドバイス
被告である顧問先の訴訟代理人弁護士として原告の請求を全て排除すべく活動しました。最終的には原告本人、被告の理事の尋問まで行い、その段階でも和解での解決ができずに被告側が全面勝訴の判決が下され、その判決が確定したものです。
パワハラという言葉が世間に浸透してきていること自体は悪いことではないのですが、適正な業務上の指導であるものについてもパワハラだと主張する従業員も一定するおられるようで本件のように訴訟までは至らないものの会社経営者の方が苦慮されている姿を良く拝見します。顧問弁護士として対応している中でも自称パワハラ被害者の職員についての相談は日常的にあり、そう簡単に業務上の指導がパワハラと評価されることはないですよと顧問先にアドバイスしているところです。
パワハラ防止法が2022年4月1日に中小企業にも適用されることになりましたので、パワハラを主張して会社からの指導に従おうとしない、慰謝料を請求してくるという案件は増えることが予想されます。実際にパワハラがあったのであれば然るべき対応をすべきですし、業務上の適切な指導をパワハラだと主張する社員からの不当な請求は断固排除すべきだと思います。
顧問弁護士としてパワハラをめぐる対応についてお役に立てる場面があると思いますので日常的に相談できる体制を整え、問題社員対応の精神的な負担を軽減するために顧問弁護士を置かれるのを検討されてはいかがでしょうか。