不動産業|不動産取引紛争に関する顧問弁護士活用事例

会社の工事施工方法についてクレームを付けて自らの望む施工方法を強要する施主からの請負代金返還請求訴訟について請求を全て棄却する判決を得た事例

概要

業種

不動産会社(宅建業者),解体業や飲食店経営も行っている

相談種別

浸水被害歴のある土地の売買契約について買主が売主に対して瑕疵担保責任(現在の契約不適合責任)に基づく損害賠償,仲介を行った不動産会社に損害賠償を請求してきた民事訴訟において不動産会社の代理人として対応して買主の請求を全て棄却する判決を得てそのまま確定したケース

相談内容

当社が土地の売買契約の仲介を行った後,土地上に自宅を建築した土地の買主から「河川の増水で浸水する土地」には瑕疵があり,その仲介を行った当社にも買主が被った損害について賠償する責任があるとして民事訴訟を提起されて困っている。

解決方法

訴訟提起されてからの相談であったため被告となった顧問先の訴訟代理人弁護士として土地の買主である原告からの請求の全部棄却を求める訴訟活動を行い,原告の請求を全部棄却する判決を得ました。

解決までの期間

1年2か月(地裁での判決確定まで)

 

事案内容

事案と結果

相談内容に記載したとおりです。顧問先企業が土地の売買の仲介に関与した後しばらくしてからの紛争であったため,今さら請求されてもという受け止め方でしたが,浸水可能性のある土地であるというだけで「瑕疵がある」(契約不適合である)と評価されるとすると低地にある土地の売買は事実上できなくなってしまうことになりかねませんこのことから原告からの請求を必ず排除するという強い覚悟を持って顧問先企業とともに臨んだ案件でした。

 

そこで浸水被害歴のある土地であるとしても,そのこと自体は「瑕疵」とは言えないこと仲介に関与した顧問先企業には何らの過失もないことを主張して原告からの請求を全て棄却するべきであるとの主張を展開しました。

 

結果 土地の買主である原告からの売主へ請求,仲介業者である顧問先企業への請求を全部棄却するとの判決を得てこの判決が確定することで解決しました。

事案の詳細

先に述べたとおりですが,売主が作成した告知書(売買対象の不動産についての売主側の認識を記載して買主に渡す書類)には浸水被害を把握していないとの記載があり,この点も仲介業者である顧問先企業にとって有利に働いたのかなと考えています。

 

弁護士の対応・アドバイス

本件は民事訴訟の被告となった顧問先企業の訴訟代理人として土地の買主であった原告からの請求を全部棄却するとの判決を得て,これが確定する形で法的には解決できたものです。端的に言うと全面勝訴できたという案件です。

 

なお,この訴訟が終了した後ですが,2020年8月28日から取引対象物件(不動産)がハザードマップに表示されているときには,その所在地についてハザードマップを示しながら説明することが仲介業者に義務付けられています。

不動産の仲介に関わる宅建業者の皆様にとって,重要事項説明事項の追加といった大きい変更以外でも法令や施行規則の変更に伴い,随時情報をアップデートしながら実務に関与していかないと期せずして法的な責任を追及されることになりかねません。

 

契約当事者の意向や物件の現況にイレギュラーな状態がある不動産の売買にあたって契約書の特約事項をどう記載するのか,重要事項説明の記載をどうするのかといった点はもちろん,通常の不動産売買,賃貸借にあたっても困ったときにすぐに相談できる弁護士がいるという状態は社長や役員の方のみならず各社員の皆様の安心感にもつながると思います。

 

宅建業に関与する皆様からの不動産取引に関する相談や紛争案件を多く扱っている当事務所の弁護士を貴社の顧問弁護士として依頼することも検討されてはいかがでしょうか。

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