トラック運送業における労務管理その6 -休息期間管理のポイント-

 

浜ちゃんが最近物流業界に興味を持っているとの噂を聞き、相談に来られた運送会社S社のK社長。

今回もトラック運送業における労務管理について浜ちゃんに相談しています。

 

 

K社長

「年末年始からこちら寒いですよね~。今日もよろしくお願いします。」

 

浜ちゃん先生

「こちらこそよろしくお願いいたします。今回は何についてお話ししましょうか?」

 

K社長

「運行スケジュールを組む際に,「休息期間」についても留意しなくてはいけないとされていますよね?」

 

浜ちゃん先生

「そうですね。」

 

K社長

「この休息期間について,ふわっと理解しているつもりなのですが

 正確な理解をしたいので,今日は休息期間について教えてください。」

 

 

浜ちゃん先生

「わかりました。「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」では,

 「勤務終了後,継続8時間以上の休息期間を与えること」(同基準4条1項3号)とされています。」

 

K社長

「そうすると勤務終了後,8時間が経過すれば次の勤務に就くことができるということですね?」

 

浜ちゃん先生

「少し不正確ですね。1勤務と次の勤務の間に8時間の間隔があれば

 それで必要十分なのかをきちんと理解しておく必要がありますね。」

 

K社長

「といいますと?」

 

 

浜ちゃん先生

「休息期間とは

 「使用者の拘束を受けない期間で,勤務と次の勤務の間にあって,

  直前の拘束時間における疲労の回復を図るとともに,睡眠時間を含む労働者の生活時間として,

  その処分は労働者のまったく自由な判断にゆだねられる時間(平9・3・11 基発第143号)

 を指します。」

 

K社長

「仮眠時間は休息期間に含まれますか?」

 

浜ちゃん先生

「仮眠時間は拘束時間に含まれますが,休息期間には含まれません。」

 

K社長

「荷物を運んで目的地に着いて勤務が終了し,次の勤務開始までの空き時間はどうなりますか?」

 

浜ちゃん先生

「それは休息期間に含まれますね。なお,改善基準第4条2項では,トラックの運転者の休息期間について

 「運転者の住所地における休息期間がそれ以外の場所における休息期間より長くなるように努めるものとする

 と規定されています。

 8時間以上の休息期間を与えたとしても,配送先でばかり休息期間と取るのは望ましくないということですね。」

 

 

K社長

「わかりました。配送先等で休息するのと自宅へ帰って休息するのとでは

 疲労の回復の程度が違ってくるでしょうからねぇ。

 それはそうと継続した8時間以上の休息期間を与えることが難しいことが多いのですが,

 この場合はどうすればいいですか?」

 

浜ちゃん先生

「休息期間については例外規定が設けられていまして,その要件を満たせば大丈夫です。」

 

K社長

「その例外規定について具体的に教えてください。」

 

浜ちゃん先生

「了解しました。まず分割休息期間についてお話ししましょう。

 

 業務の必要上,勤務の終了後,継続した8時間以上の休息期間を与えることが困難な場合には,

 当分の間,一定期間(原則として2週間から4週間程度)における全勤務回数の2分の1の回数を限度として,

 休息期間を拘束時間の途中及び拘束時間の経過後に分割して与えることができます。

 この場合,分割された休息期間は,1日において1回当たり継続4時間以上,

 合計10時間以上でなければなりません。」

 

K社長

「少しイメージしづらいですね。」

 

浜ちゃん先生

「下の例は休息時間を分割したと考えても1回当たり4時間以上という要件を満たさないので,

 改善基準を満たさないことになります。」

 

(社団法人全日本トラック協会トラック事業者のための労働法のポイント 7頁より引用)

 

K社長

「なるほど,図で見るとイメージできますね。」

 

浜ちゃん先生

「次の図ですが,休息期間を分割していますが,分割された各休息期間は4時間以上で,

 休息期間の合計は10時間ですから改善基準を満たすことになります。」

 

(社団法人全日本トラック協会トラック事業者のための労働法のポイント 7頁より引用)

 

K社長

「なるほど,わかりました。それでは他の例外規定についても教えてください。」

 

浜ちゃん先生

2人乗務の特例があります。これは運転者が同時に1台の自動車に2人以上乗務する場合

 (ただし,車両内に身体を伸ばして休息することができる設備がある場合に限る。)においては,

 1日の最大拘束時間を20時間まで延長でき、また休息期間を4時間まで短縮することができます。」

 

 

 

K社長

「なるほど,しかし2人乗務させるとなると人件費がかさみますし,中々難しいですね。」

 

浜ちゃん先生

「もう1つの例外が隔日勤務の特例です。

 業務上やむを得ない場合には,当分の間,次の条件の下に隔日勤務に就かせることができます。」

 

<隔月勤務の特例>

①2暦日における拘束時間は,21時間を超えないこと

 ただし,事業場内仮眠施設又は使用者が確保した同種の施設において,

 夜間に4時間以上の仮眠時間を与える場合には

 2週間について3回を限度に,この2暦日における拘束時間を24時間まで延長することができます。

 なお,この場合においても,2週間における総拘束時間は126時間を超えることはできません。

 

②勤務終了後,継続20時間以上の休息期間を与えること

 

 

K社長

「当社は,このやり方で管理していますね。」

 

浜ちゃん先生

「そうですか。フェリーに乗船する場合についても特例があるんですが,それは次回取り上げましょう。」

 

 

K社長

「わかりました。次回もよろしくお願いします。」

 

浜ちゃん先生

「いえいえ,こちらこそよろしくお願いいたします。」

 

 

☆当事務所においては,これまでも労務管理を中心とする中小企業の顧問業務,

 宅建業や不動産取引にかかわる紛争の解決に注力して参りましたが,

 今後は流通・運送業界の法律問題の解決,顧問業務にも力を入れて取り組むことになりました。

 

このブログにおいても有益な情報発信ができるよう努力して参りますので,よろしくお願いいたします!

 

執筆者  弁護士 浜田 諭

(好きな食べ物は杏仁豆腐)