トラック運送業における労務管理その7-フェリー乗船中の時間の取り扱いのポイント-

 

浜ちゃんが最近,物流業界に興味を持っているとの噂を聞き,相談に来られた運送会社S社のK社長。

今回もトラック運送業における労務管理について浜ちゃんに相談しています。

 

 

K社長

「宮崎県の緊急事態宣言の期間延長されましたね。今日はフェリー乗船中の時間の話でしたよね?」

 

浜ちゃん先生

「そうです。早速始めていきましょう!」

 

K社長

「トラック運送の経路によってはフェリーを利用することがあるのですが、

 フェリーに乗船中,ドライバーは運転業務から解放されていますよね?」

 

浜ちゃん先生

「そうですね。」

 

K社長

「仮眠をとることもできますし・・・」

 

浜ちゃん先生

「それはそうなのですが,もしかしてK社長,

 フェリーに乗船中の時間は丸々休息期間にしてもいんじゃないかとか考えていませんか?」

 

K社長

「そこまでは思っていませんよ。ただ,少なくとも労働時間には入らないだろうなと思っているだけで。」

 

浜ちゃん先生

「なるほど。フェリーに乗船中って船の中から出られないでしょう。

 そうすると完全に自由な時間とはいえないですよね?」

 

K社長

「そう言われればそうですね。」

 

浜ちゃん先生

「旅行中の時間って労働時間に当たると思いますか?」

 

 

K社長

「いやいや当たらないでしょう。旅行でしょ?当たらないですよ。」

 

浜ちゃん先生

「そうですよね。休日についてなのですが,

 「旅行中における物品の監視等別段の指示がある場合のほかは休日労働として扱っても差し支えない」

 (昭23・3・17基発第461号)という解釈例規が示されています。」

 

K社長

「とすると労働時間には該当しないということですね?」

 

浜ちゃん先生

「そうです。トラック運転者がフェリーに乗船中も同様に考えます。」

 

K社長

「そうなんですね。ホッとしました。」

 

浜ちゃん先生

「しかし,自動車運転者の場合,労働時間以外にも考えなくてはいけないことがありましたよね?覚えていますか?」

 

K社長

「えっと・・・拘束時間と休息期間ですか?」

 

浜ちゃん先生

「そのとおりです。素晴らしいですね。フェリー乗船中について,

 その時間が拘束時間,休息期間としてどのように扱われるのかを知っておく必要があるんです。」

 

K社長

「そうなんですね。では,その辺りを教えていただいていいですか?」

 

浜ちゃん先生

「フェリーの乗船時間について

 「一般乗用旅客自動車運送業以外の業務に従事する自動車運転者の

  拘束時間及び休息期間の特例について(特例通達)」

 が取扱い基準を示しています。」

 

 

K社長

「どのような内容ですか?」

 

浜ちゃん先生

「以前は乗船時間のうち2時間(乗船時間が2時間未満のときはその時間)は

 拘束時間として取り扱い,その他は休息期間にカウントしていました。」

 

K社長

「その計算方法だと6時間乗船した場合には2時間が拘束時間で,

 残りの4時間が休息期間ということになりますね。」

 

浜ちゃん先生

「そうなっていたのですが,フェリー乗船時間のうち2時間が拘束時間ということになると

 月間の拘束時間の上限(原則293時間)等の遵守が難しくなりますよね?」

 

K社長

「そうですね。」

 

浜ちゃん先生

「そういった問題意識があったことから全日本トラック協会等の4者が厚生労働省労働基準局長に

 フェリー乗船時における拘束時間の取り扱いについて,

 フェリーの乗船時間を全て休息期間とするよう申し入れをしました。」

 

K社長

「その結果,フェリー乗船時間は全て休息期間であり

 拘束時間には含まれないという取り扱いに変わったんですよね?」

 

浜ちゃん先生

「そのとおりです。平成27年9月1日から取り扱いは変わっています。

 そして休息期間とされた時間は

 「勤務終了後,与えるべき継続8時間以上の休息期間(

  1台に2人以上乗務する場合は4時間,隔日勤務の場合は20時間)」

 の計算から減じることができます。」

 

K社長

「フェリー乗船時間の特例の変更によって結構シンプルでわかりやすくなりましたよね。」

 

浜ちゃん先生

「ただし・・」

 

K社長

「ただし何ですか?」

 

浜ちゃん先生

「減算後の休息期間は,2人乗務の場合を除き,フェリー下船時刻から

 勤務終了時刻までの間の時間の2分の1を下回ることはできません。」

 

K社長

「口頭で言われてもよくわからないので,もう少しかみ砕いて説明してください。」

 

浜ちゃん先生

「わかりました。具体例を考えましょう。

 まず運転・積卸しをしてフェリーに乗り込みますが,

 フェリーの乗船時間は全て休息期間でしたよね?」

 

 

K社長

「はい。」

 

浜ちゃん先生

「フェリーから降りて6時間運転・積卸しをして(ここは拘束時間),その後に休息期間に入るとします。

 この休息期間がフェリー下船時刻から勤務終了までの間の時間(ここでは6時間)

 の2分の1(ここでは3時間)を下回ることができません。」

 

K社長

「理解のために確認させてください。例えば,このケースでフェリーから降りて

 4時間運転・積卸をした場合には,その後の休息期間は2時間を下回ることはできないということですね?」

 

 

浜ちゃん先生

「その通りです。よく理解していただきました。次回は休日の取り扱いについてお話ししていこうと思います。」

 

 

K社長

「次回もよろしくお願いします。」

 

浜ちゃん先生

「いえいえ,こちらこそよろしくお願いいたします。」

 

☆当事務所においては,これまでも労務管理を中心とする中小企業の顧問業務,

 宅建業や不動産取引にかかわる紛争の解決に注力して参りましたが,

 今後は流通・運送業界の法律問題の解決,顧問業務にも力を入れて取り組むことになりました。

 このブログにおいても有益な情報発信ができるよう努力して参りますので,

 よろしくお願いいたします!

 

執筆者  弁護士 浜田 諭

 

 

 

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