【コラム】弁護士が教える法改正 「年5日の年次有給休暇の確実な取得」その1

宮崎県内で内装工事業を営むM社を経営するA社長,かつてM社の巻き込まれた裁判でM社の代理人を務めた浜ちゃんからの提案でM社が抱える日常のトラブルの対応を相談するために浜ちゃんと顧問契約を結んだところである。


浜ちゃん先生
「前回のK社長と私の話,ご覧になりましたか?」

 

A社長

「ごめんなさい,まだ見ていないんです。」

 

浜ちゃん先生
「社長の時間があられるときに見て頂けると助かります。ところで年5日の年次有給休暇を従業員に確実に与えなくてはいけないというルールが出来たのをご存知ですか?」

 

A社長
「え~社労士の先生の指示で年次有給休暇取得計画表も作成しましたし,従業員からも有給休暇の取得時期の希望も聞いてそれを反映させていますので対応は出来ていると思います。」

 

浜ちゃん先生
「それは素晴らしいですね。社長,そもそも年次有給休暇ってどういう条件で発生するかご存知ですか?」

 

A社長
「確か雇い入れの時点から6ヶ月以上継続して雇用されていることと全ての労働日のえーっと何割か以上を出勤していることが条件でしたよね。」

 

浜ちゃん先生
「それは8割以上ですね。」

 

A社長
「そうそう、そうでした。」

 

浜ちゃん先生
「具体的な付与日数って分かります?」

 

A社長
「いや~そこまでは分からないです。」

 

浜ちゃん先生
「雇い入れの時点から6ヶ月間継続して勤務し,その6カ月の全労働日の8割以上を出勤した場合には,原則として10日の年次有給休暇を与えなくてはいけませんね。それ以降は下の図のようになります。」

 

 

A社長
「パートタイムの方はどうなるんでしたっけ?」

 

浜ちゃん先生
「パートタイム労働者の方などの所定労働日数が少ない方に対する年次有給休暇の日数は所定労働日数に応じて比例付与されます。」

 

A社長
「全員がそうなるんでしたっけ?」

 

浜ちゃん先生
「所定労働時間が週30時間未満で,かつ,週所定労働時間が4日以下または年間の所定労働日数が216日以下の労働者の方です。具体的には以下のイメージです。」

 

(厚生労働省等「年5日の年次有給休暇の確実な取得 わかりやすい解説」より引用)


A社長
「年次有給休暇って従業員が希望したら,その日に与えなくてはいけないんでしたっけ?」

 

浜ちゃん先生
「従業員の方が請求する時季に与えなくてはいけないのが原則です。」

 

A社長
「でもゴールデンウィークの中日(なかび)とかに年次有給休暇の希望が集中して実際に希望通り休んでもらうと従業員がほとんどいなくなって業務に支障を来すんですけど・・」

浜ちゃん先生
「そういうときには時季変更権といって,他の時季に年次有給休暇の時季を変更することができますよ。これを時季変更権といいます。」

 

A社長
「そうなんですね。安心しました。従業員の年次有給休暇っていつまで使えるんでしたっけ?」

 

浜ちゃん先生
「2年になりますね。年次有給休暇の請求権の時効は2年ですので,年次有給休暇が発生してから2年を経過すると年次有給休暇の請求権は消滅してしまいます。端的に言うと年次有給休暇がなくなってしまうということですね。」

 

A社長

「先ほど時季変更権の話がありましたが,どちらかというと仕事へのやる気が見えない従業員が休んでほしくない時期に年次有給休暇を取得してくる傾向にあって・・正直,このことを理由に勤務評価にマイナスの評価をつけたいんですよね~」

 

浜ちゃん先生
「それはだめですよ!使用者は,年次有給休暇を取得した労働者に対して,賃金の減額その他不利益な取り扱いをしないようにしなくてはならないとされていますから。でも年次有給休暇の取得とは関係なく日頃の業務態度を評価した結果,勤務評価がマイナスになるというのは問題ないと思いますよ。」

 

A社長
「それじゃあ,次回は年5日の年次有給休暇の確実な取得に関わる改正点を教えてください。」

 

浜ちゃん先生
「わかりました。」

 

次回は年5日の年次有給休暇の確実な取得に関わる改正点についてお話していこ
うと思います。

今回触れた点に限らず労務管理について社労士の先生に加えて弁護士を顧問として委任することにより労使の紛争予防につながると思いますので興味をお持ちの事業者の皆様,お気軽にご相談ください。