トラック運送業における労務管理その3-拘束時間管理のポイント-

 

浜ちゃんが最近物流業界に興味を持っているとの噂を聞き、

相談に来られた運送会社S社のK社長。

今回もトラック運送業における労務管理について浜ちゃんに相談しています。

 

K社長

「当社においてトラック運転者の勤務割を考える際に「拘束時間」が

 法定の基準を超えないように配慮しているのですが,

 ここだけの話,「拘束時間」が正確に何を指しているのかを

 理解していません。教えてもらっていいですか?」

 

浜ちゃん先生

「まず,労基法の話をしてから拘束時間の話をしましょう。

 労基法では「労働時間」に関する最低基準を定めていますし,

 違反の有無についても実労働時間に着目して判断していますよね。」

 

K社長

「はい。」

 

浜ちゃん先生

「しかし,トラックドライバーなどの自動車運転者については,

 運転,休憩,休息など勤務全般の適正化を図るため,

 別に自動車運転者の労働時間等の改善のための基準

(平成元年二月九日 労働省告示 第7号)というものが定められています。」

 

K社長

「そうなんですね。もしかして,そこに拘束時間という表現が

 出てくるのではないですか?」

 

浜ちゃん先生

「鋭いですね。そうなんです。ここの規制方式が

「拘束時間」を中核に据える業界特有のものであるということなんですよ。」

 

K社長

「具体的にトラック運転者の拘束時間について

 どのような制限が設定されているのですか?」

 

浜ちゃん先生

「改善基準の第4条に1カ月の拘束時間は原則として

 293時間以内でなければならないとあります。

 なお,労使協定によって1年のうち6カ月までは,

 1年間についての拘束時間が3,516時間を超えない範囲において,

 320時間まで延長できるという例外があります。」

 

K社長

「この3,516時間を12カ月で割ると,

 1カ月あたり293時間となりますね。

 これは1カ月あたり拘束時間の限度とイコールになりますよね?」

 

浜ちゃん先生

「そのとおりです。少し話が脱線しました。

 1日の拘束時間についても上限が決められています。」

 

K社長

「何時間が拘束時間の上限なのでしょうか?」

 

浜ちゃん先生

1日の拘束時間13時間以内を基本とし,これを延長する場合でも

 16時間が限度とされています。」

 

K社長

「そうなんですねぇ。元々の質問に戻るのですが,

 そもそも拘束時間とは何ですか?」

 

浜ちゃん先生

「改善基準第2条によると「拘束時間」とは 「労働時間,休憩時間

 その他の使用者に拘束されている時間をいう。」と定義されています。

 

K社長

「労働時間は実際に働いている作業時間(運転・点検・荷扱い)だけですか?

 前回かなぁ,手待ち時間の話があったと思うのですが,

 この手待ち時間は労働時間に含まれるのでしょうか?」

 

浜ちゃん先生

「よく覚えて頂いていて嬉しいですね。労働時間には,

 実際に働いている時間(運転・点検・荷扱い)と

 手待ち時間(荷待ち・待機等)の時間の双方が含まれます。

 

K社長

「やはりそうなんですね。休憩時間の定義ですが,どうなりますか?」

 

浜ちゃん先生

「使用者の指揮命令を離れて自由に行動できる時間で,仮眠時間を含みます。」

 

K社長

「拘束時間の定義に「その他の使用者に拘束されている時間」というものが

 含まれていますが,荷待ち時間はここに含まれるのですか?」

 

浜ちゃん先生

「いいえ,荷待ち時間は手待ち時間に含まれて労働時間に当たると

 考えられるケースが多いと思います。」

(社団法人 全日本トラック協会トラック事業者のための労働法のポイント1頁より引用)

 

K社長

「そうなんですね。」

 

浜ちゃん先生

「ちなみに,この点について解釈例規(平9・3・11基発第143号)が

 触れているので引用しますね。

 

 

以下―引用

 

「あらゆる場合における使用者に拘束されているすべての時間を確実に含ませるため,

 念のため「その他の使用者に拘束されている時間」を加えたものである。

 通常の場合,「その他の使用者に拘束されている時間」が発生する余地はなく,

 労働時間と休憩時間の合計時間が拘束時間となる」

 

―引用終わり

 

 

K社長

「そうすると,拘束時間は労働時間+休憩時間という認識でいいんでしょうか?」

 

浜ちゃん先生

「そうですね。何はともあれ,貴社においてはトラック運転手を

 雇用している以上,拘束時間についての基準をきちんと満たした

 労務管理をしないといけないですね。」

 

K社長

「わかりました。今後ともよろしくお願いいたします。」

 

☆当事務所においては,これまでも労務管理を中心とする中小企業の顧問業務、宅建業や不動産取引にかかわる紛争の解決に注力して参りましたが,今後は流通・運送業界の法律問題の解決,顧問業務にも力を入れて取り組むことになりました。

 このブログにおいても有益な情報発信ができるよう努力して参りますので,

 よろしくお願いいたします!

執筆者  弁護士 浜田 諭

  • 顧問弁護士の活用事例

    詳しくはこちら

  • 顧問先の声

    詳しくはこちら

  • 当事務所の顧問弁護士の特徴

    詳しくはこちら

  • 顧問先のご紹介

    詳しくはこちら

  • 顧問弁護士の活用事例
  • 当事務所の顧問弁護士の特徴
  • 顧問先の声
  • 顧問先のご紹介