トラック運送業における労務管理その2-36協定と時間外労働の上限設定のポイントは?-

 

浜ちゃんが最近物流業界に興味を持っているとの噂を聞き、

相談に来られた運送会社S社のK社長,

今回もトラック運送業における労務管理について浜ちゃんに相談しています。

 

K社長

「当社においては一般の事務・配送所勤務の方・トラック運転手といった

 違う職種の方を雇用しており、

 職種の違いに合わせて過半数代表者との間で36協定を締結しております。」

 

浜ちゃん先生

「きちんとした労務管理をされておられますね。それでどうしました?」

K社長

「運送業においては一般的な時間外の限度基準がないと聞くのですが、

 配送所で荷物の積卸をする従業員についても、1月45時間、

 1年360時間を超える36協定を結ぶことができるのでしょうか?」

 

浜ちゃん先生

「まず確認しておきましょうか。36協定を結ぶ際に

 「労働時間の延長の限度等に関する基準」(平10・労働省告示第154号)

 で示された限度基準を超えることができないとされています。

 これが社長にご指摘いただいた1月45時間、1年360時間という上限ですね。」

 

K社長

「根拠までは知りませんでした。そういうことなんですねぇ。

 36協定を締結しなくてはいけないというのは理解しているんですが、

 締結する意味って何ですか?」

 

浜ちゃん先生

「まず基本的なところを確認してから説明していきましょう。

 労働基準法が定める法定労働時間って何時間ですか?」

 

K社長

「えっと・・・1週40時間、1日8時間だったと思います。」

 

浜ちゃん先生

「そのとおりです。よく勉強されていますねぇ。

 36協定を締結すると法定労働時間を超えて労働させても、

 協定の枠内で働かせている場合には労基法違反として処罰されないという効力が生じます。

 これを刑事上の免責的効力ともいいます。」

 

K社長

「36協定を締結していさえすれば、その枠内で

 時間外労働をさせても問題ないと考えて良いですか?」

 

浜ちゃん先生

「う~ん。それは不正確ですね。

 協定があった場合にも時間外労働を命じる根拠が必要になるんです。」

 

K社長

「その根拠って具体的にはどのようなものですか?」

 

浜ちゃん先生

「就業規則に「業務上の必要がある場合には時間外労働を命じることがある」といった

 根拠規定が置いていること等を指します。

 ちなみに貴社の就業規則にはこのような規定がありますのでご安心ください。」

 

K社長

「当社には36協定があり、時間外労働を命じる根拠もあるということですが、

 運送業では一般的な時間外の限度基準の適用がないのではないですか?」

 

浜ちゃん先生

「先に紹介した限度基準には適用除外について定めてあり、

 社長はこのことをおっしゃっているのだと思います。

 その部分は以下のとおりです。

 この条項をよく見て頂きたいのですが・・・1号には何と書いていますか?」

 

K社長

「工作物の建設等の事業とありますね。」

浜ちゃん先生

「そうするとその事業で雇用されている労働者についての36協定について

 適用除外とされそうですよね?」

 

K社長

「なるほど」

 

浜ちゃん先生

「それでは第2号にはどう書いてありますか?」

 

K社長

「自動車の運転の業務」と書いてありますよ。」

 

浜ちゃん先生

「ということは自動車の運転の業務についての時間外労働協定(36協定)については適用除外ですが、

 その他の業務についての36協定には適用があると読むことになりますね。」

 

K社長

「そうすると当社で自動車の運転の業務以外の業務を行っている

 配送所勤務の方の36協定には原則通り限度基準が適用されるということになりますね。」

 

浜ちゃん先生

「そのとおりです。」

 

K社長

「わかりました。疑問な点がわかってスッキリしました。

 今後ともよろしくお願いいたします。」

 

浜ちゃん先生

「こちらこそ、よろしくお願いいたします。」

 

 

☆当事務所においては、これまでも労務管理を中心とする

 中小企業の顧問業務、宅建業や不動産取引にかかわる紛争の解決に

 注力して参りましたが、今後は流通・運送業界の法律問題の解決、

 顧問業務にも力を入れて取り組むことになりました。

 

 このブログにおいても有益な情報発信ができるよう努力して参りますので、

 よろしくお願いいたします!

 

執筆者  弁護士 浜田 諭