「トラック運送業における労務管理」その25-社内でのセクハラの噂を聞いた場合に会社・人事担当者がとるべき対応?-

浜ちゃんが最近,物流業界に興味を持っているとの噂を聞き,相談に来られた運送会社S社のK社長,

今回もトラック運送業における労務管理について浜ちゃんに相談しています。

 

1 会社でセクハラが行われている噂を耳にした場合

 

K社長

「当社にはドライバーの中にも女性がおり,内勤の事務の半数以上は女性なのですが・・」

 

 

浜ちゃん先生

「貴社が女性を積極的に活用されているということで良いことだと思います。

 それで女性が多い貴社においてどのような問題が生じているのでしょうか?」

 

K社長

「実は内勤の女性社員が上司からセクハラを受けているという噂を耳にしました。」

 

浜ちゃん先生

「社長自身が耳にされたということですね?」

 

K社長

「はい。」

 

浜ちゃん先生

「社長の耳に入るぐらいですから,社内でかなり噂が広がっているということですね?」

 

 

K社長

「そうだと思います。それで弊社はハラスメント防止に積極的に取り組んでいるところですので

 加害者,被害者とされている従業員に対してヒアリングを行って事実を確認した方がよいと考えるのですが,

 この点をどう考えますか?」

 

浜ちゃん先生

「この点,労働政策総合推進法や指針,通達においては,ハラスメントの相談を受けたら事実関係を確認し,

 確認した事実に基づいて適切な措置を講じることが求められています。」

 

K社長

「でも,今回相談は受けていないですよね?」

 

浜ちゃん先生

「そうですね。法律や指針・通達には相談がない場合はどうするのかについては定められていないのですが,

 噂を聞いているのに何もしないというのは問題がありそうです。

 未然にハラスメントを防止するのが法律の目的になりますので,噂を聞きながら放置するのは

 法律の目的や趣旨にも反しますね。」

 

 

K社長

「それでは,噂を聞いた場合,会社は何をすべきでしょうか?」

 

浜ちゃん先生

「やはり事実関係の正確な確認をするというのが大事ですね。」

 

K社長

「そのためにどのような方法が考えられるでしょうか?噂の中で加害者とされる上司や被害者とされている

 部下の社員から直接聞くのは問題があるのでしょうか?」

 

浜ちゃん先生

「どちらから聞き取りをするにせよ,会社からハラスメントについてヒアリングをされたときに,

 根も葉もない噂を流した人を特定して欲しい,特定した後に処分して欲しいという別の争いを誘発する

 可能性があります。このことから噂されている当事者からの直接の聞き取りは避けたほうがよいですね。」

 

K社長

「それでは,どのような方法をとればよいのでしょうか?」

 

浜ちゃん先生

「社内にハラスメントはありませんか?見たり聞いたりしたことはありませんか?

 という抽象的なアンケートを実施してみてはいかがかと思います。」

 

 

K社長

「アンケートの中に具体的な情報が書いてあれば,それをもとにして事実関係の確認ができそうですね。」

 

浜ちゃん先生

「そうですね。情報が出てこなければしばらく様子を見るしかないと思いますが,

 この程度のことはやった方が良いでしょうね。先ほど申し上げたように社長の耳にまで届くほど噂が広まっている

 わけですから実際にセクハラがあったり,セクハラとまでは言えなくても

 社員間に何らかのトラブルがあるのかもしれませんし。」

 

K社長

「今回のアンケートは本丸ではなく外堀から埋めていく感じの手法ですね?」

 

浜ちゃん先生

「そうですね。

 仮にアンケートによって事実関係の確認ができなくても,実際にハラスメントが行われている場合には,

 当事者に会社がハラスメントの有無についてきちんと意識した対応をしているというメッセージが伝わります

 そうすると現在進行形のハラスメントが止まったり,あるいは今後のハラスメントの予防につながったりすると

 いう効果も期待できますね。」

 

K社長

「早速,アンケートを実施してみようと思います。今日もありがとうございました。」

 

浜ちゃん先生

「こちらこそお付き合いいただきありがとうございました。お疲れさまでした。」

 

最後に

 

☆当事務所においては,これまでも労務管理を中心とする中小企業の顧問業務,宅建業や不動産取引にかかわる紛争

 の解決に注力して参りましたが,今後は流通・運送業界の法律問題の解決,顧問業務にも力を入れて取り組むこと

 になりました。

 このブログにおいても有益な情報発信ができるよう努力して参りますので,よろしくお願いいたします!

 

 

執筆者  弁護士 浜田 諭

 

 

 

 

 

 

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