【コラム】株主総会や取締役会の議事録について

浜ちゃんが企業コンプライアンスについて取り組んでいるとの噂を聞き,相談に
来られたU社のY社長,今回は株主総会や取締役会の議事録について相談されて
います。

浜ちゃん先生
「初めまして。前回の相談以降,取締役会は開催するようにしたのですか?」

 

Y社長

「そうです。前回の相談を受けて取締役会を開催しないことが問題だと思いましたので・・」

 

浜ちゃん先生
「今回はどのような相談ですか?」

 

Y社長
「株主総会や取締役会について議事録を作らなくてはいけないんですか?当社は株主も取締役も全員家族・親族なんですが・・・」

 

浜ちゃん先生
「会社は,株主総会や取締役会の議事録を作成して会社に備え置かなければならないことになっています(会社法318条,371条)

 

Y社長
「会社法にそのような定めがあるのはわかりましたが,議事録を作成していないとどのような問題が生じるのかを教えてください。」

 

浜ちゃん先生
「株主総会や取締役会については後々,特定の事項について決議がされたのか,決議がなされたとしてもどのような決議がなされたのかが問題となることがあります。」

 

Y社長
「具体的に教えてください。」

 

浜ちゃん先生
「特定の株主や取締役にとって不都合な決議,例えば取締役の解任等ですが,そのような場合,後に「株主総会自体が開催されていない。」

 

「開催されたが出席株主の過半数の賛成で可決されていない。」ということで争いになることがあります。これは株主や取締役が全員,家族・親族であるときも同様です。」

 

Y社長
「そのような場合に議事録がないとどうなるのですか?」

浜ちゃん先生
「このケースだと株主総会で出席株主の過半数の賛成によって取締役からの解任が可決されたことを証明することが難しくなります。」

 

Y社長
「そうすると取締役の解任がなかったことになってしまうリスクがあるということですか?」

 

浜ちゃん先生
「そのような事態が生じることも考えられますね。」

 

Y社長
「先ほど議事録を作成して会社に備え置くのは会社法で定められた義務であるといわれていましたが,これを行っていないとペナルティがあるのですか?」

 

浜ちゃん先生
「議事録を作成して備え置かない場合には過料の制裁を受ける場合があります。」

Y社長
「それは大変ですね。後の争いごとを避けるためにも議事録をきちんと作成しておかなくてはいけないですね。」

 

浜ちゃん先生
「そうですね。議事録が作成されていると分かっていると,そもそも決議の有無や決議内容の不備は争えないという意識が生じますから,この点については争いごとが生じにくくなります。」

 

Y社長
「そうですね。今後は議事録を作成して会社に備え置くようにします。今日はありがとうございました。」

 

浜ちゃん先生
「お疲れ様でした。」

 

今回触れた議事録の点に限らず,きちんと会社法等の法令を遵守するコンプライアンス経営が会社経営の安定につながるケースが多いと思います。


中小企業がコンプライアンス経営を行っていくにあたって顧問弁護士を委任して日頃から相談をできる体制を作るのも有益ではないかと思われます。


コンプライアンスを重視した経営に興味をお持ちの事業者の皆様,お気軽にご相談ください。


執筆者
日本弁護士連合会 弁護士業務改革委員会 
企業コンプライアンス推進プロジェクトチーム副座長 弁護士 浜田 諭

  • 顧問弁護士の活用事例

    詳しくはこちら

  • 顧問先の声

    詳しくはこちら

  • 当事務所の顧問弁護士の特徴

    詳しくはこちら

  • 顧問先のご紹介

    詳しくはこちら

  • 顧問弁護士の活用事例
  • 当事務所の顧問弁護士の特徴
  • 顧問先の声
  • 顧問先のご紹介