中小企業のコンプライアンス経営のために!従業員の解雇について

従業員の解雇について

浜ちゃんが企業コンプライアンスについて取り組んでいるとの噂を聞き,相談に来られたU社のY社長,今回は

従業員の解雇について相談されています。

浜ちゃん先生

「前回は就業規則の作成についてのお話しでしたね。あれ以降,就業規則を作成されたのですか?」

 

Y社長

「はい。賃金計算や社会保険の手続きを依頼している社労士の先生に作成を依頼しました。そうですか。」

 

浜ちゃん先生

「今回の相談はどんなことですか?」

 

Y社長

「私の先代は気に入らない従業員や当社が求めている能力がないと判断した

従業員については全て辞めてもらう人でした。」

浜ちゃん先生

「辞めてもらうというのは解雇ということですか?退職勧奨を踏まえての退職でしょうか?」

 

Y社長

「解雇だったと思います。先代の頃にはそれで結果的に問題が生じなかったのですが先代のとっていた行動は問題があったわけですよね?」

 

浜ちゃん先生

「1つ質問なんですけど,先代や解雇した従業員に解雇予告手当は支払っていたんですか?」

 

Y社長

「解雇予告手当って何ですか?」

 

浜ちゃん先生

「雇い主は,従業員を解雇しようとする場合,原則として,少なくとも30日前にその予告をしなければならず,仮に30日前までに予告をしない場合には,30日分以上の平均賃金を支払わなければなりません(労働基準法20条1項)。」

Y社長

「それじゃあ,解雇予告手当を支払ったり事前に予告をしたりすれば解雇できるということですか?」

 

浜ちゃん先生

「違います。たとえ30日前までに解雇予告を行ったり,30日分以上の平均賃金を支払ったりしたとしても,従業員を解雇するに当たっては「客観的合理的理由」と「社会的相当性」が要求されます(労働契約法16条)。」

 

Y社長

「そうすると仮に私が気に入らない社員を辞めさせたいという理由で辞めさせるとどうなりますか?」

 

浜ちゃん先生

「客観的合理的理由がないということで解雇権濫用にあたります。解雇の効力が認められないということになりますね。」

 

Y社長

「解雇の効力が認められないとどうなりますか?」

 

浜ちゃん先生

「雇用契約は存続していることになりますので解雇した後も給料の支払義務が残

ります。」

 

Y社長

「解雇後に裁判で争われて,裁判所が解雇無効と判断した場合にはどうなります

か?」

浜ちゃん先生

「解雇した以降も従業員を雇用している状態が続いていたことになり,解雇した日以降の給与の支払いをしなくてはいけなくなることがあります。これをバックペイといいます。」

 

Y社長

「裁判で問題の社員の解雇について無効と裁判所が判断してしまいそうな場合,当社として社員に辞めてもらうにはどういう選択肢がありますか?」

 

浜ちゃん先生

「解決金として高額な金額の払い出しをして和解するしかないと思います。」

 

Y社長

「従業員の解雇をする際には解雇権濫用,解雇無効と評価されないように細心の注意を払った方が良さそうですね。」

 

浜ちゃん先生

「そうですね。問題のある社員がいるとしても,その問題とバランスがとれた対応(懲戒処分等)を行うなどして問題の解決につなげていくことが重要ではないかと思います。」

 

今回触れた従業員の解雇の点に限らず,きちんと労働基準法等の法令を遵守するコンプライアンス経営が会社経営の安定につながるケースが多いと思います。

中小企業がコンプライアンス経営を行っていくにあたって顧問弁護士を委任して日頃から相談をできる体制を作るのも有益ではないかと思われます。

コンプライアンスを重視した経営に興味をお持ちの事業者の皆様,お気軽にご相談ください。

執筆者

日本弁護士連合会 弁護士業務改革委員会 

企業コンプライアンス推進プロジェクトチーム副座長 弁護士 浜田 諭

 

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