運送業における運転時間管理のポイントを解説

 

浜ちゃんが最近,物流業界に興味を持っているとの噂を聞き、

相談に来られた運送会社S社のK社長。

今回もトラック運送業における労務管理について浜ちゃんに相談しています。

 

K社長

「前回、拘束時間について伺ってトラック運転者の労働時間は、

 「拘束時間」を基準として管理するのが原則であること、

 拘束時間の意味について理解することができました。ありがとうございました。」

浜ちゃん先生

「いえいえ、ご理解いただけたのであれば何よりです。」

 

K社長

「トラック運転手について長時間続けて運転させないように、

 拘束時間とは別に運転時間を一定範囲に抑える必要があると聞きますが、

 運行計画を組むうえで注意すべき点があれば教えてください。」

 

浜ちゃん先生

「まず前回の復習です。トラック運転手については、拘束時間が一定範囲に納まるように

 勤務時間を設定しなければなりません。」

 

K社長

「そうそう、そうでした。」

 

浜ちゃん先生

「拘束時間が同じでも、運転時間が長時間にわたるのは望ましくないですよね。

 そこで運転時間についても別に基準を設けて規制しています(改善基準第4条第1項第4号、5号)。」

 

K社長

「運転時間の限度はどのように規制されているのですか?」

 

浜ちゃん先生

①2日を平均して1日当たり時間

 ②2週間を平均し1週間当たり44時間

 ③連続運転時間は時間           という規制があります。」

 

 

K社長

「①の2日なのですが、どこをスタートにして2日を計算するのですか?」

 

浜ちゃん先生

「始業時間から起算して48時間という計算をします。

 起算日をキチンと決めて、そこから2日ずつ区切っていって

 それぞれの平均時間が9時間以内になるように管理するのが望ましいとされています。」

 

K社長

「繁忙期ですと2日の平均が1日当たり9時間を超えてしまうことがありそうで怖いのですが・・・」

 

 

浜ちゃん先生

「確かにそうですよね。そういった場合も想定して、解釈例規(平9・3・11基発第143号)では、

 任意の2日を取り出して、すべて平均が9時間以内に収まっている必要はなく、

 特定日と前日の平均または特定日と翌日の平均のどちらかが、9時間以内なら適法であるとされています。」

「トラック事業者のための労働法のポイント」(全日本トラック協会)8頁より引用

 

 

K社長

「なるほど、これでしたら運転時間を規制内に納めることができそうです。

 ②についてはどう考えればよいですか?」

 

浜ちゃん先生

「起算日を決めて、その2週間ごとに計算しなければならないとされています。

 また36協定を締結するにあたっても

 「一定期間についての延長時間について協定するに当たっては、当該一定期間は、

  二週間及び一箇月以上三箇月以内の一定の期間を期間とするもの」(改善基準第4条第4項)

 と定められています。」

 

K社長

「③の連続運転時間ですが、どういう意味ですか?」

 

 

浜ちゃん先生

1回が連続10分以上で、かつ合計30分以上の

 運転の中断をすることなく運転する時間連続運転時間といいます。

 中断については必ずしも分割して行う必要はなく30分以上まとめて中断しても、

 連続運転をしていないとの評価になります。」

K社長

「確かに4時間以上中断せずに運転をすると疲れて集中力も落ちてくるでしょうし、

 交通事故を起こしたり巻き込まれたりする可能性も高くなりますよね。

 そういう意味でもきちんと守らないといけないですね。」

 

浜ちゃん先生

「そうですね。荷渡しの期限がタイトであるため、それに間に合わせるために長い時間連続して運転したり、

 休憩時間を削ったりするドライバーもおられると聞きますが、やはりきちんと管理していかないといけないです。」

 

K社長

「そうですね。実情としては難しいところですが、きちんと守っていくよう努力していきます。」

 

 

☆当事務所においては、これまでも労務管理を中心とする中小企業の顧問業務、

 宅建業や不動産取引にかかわる紛争の解決に注力して参りましたが,

 今後は流通・運送業界の法律問題の解決,顧問業務にも力を入れて取り組むことになりました。

 このブログにおいても有益な情報発信ができるよう努力して参りますので、よろしくお願いいたします!

 

執筆者  弁護士 浜田 諭

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