宅地建物取引業|損害賠償請求(被請求側)に関する顧問弁護士活用事例

・土地を売却したいとの依頼に基づいて売買を仲介した土地について引渡し後に地中より埋設物が見つかったとして,重要事項説明義務違反があった等として損害賠償を請求する民事訴訟を提起されたものの(売主も同時に被告として訴訟を提起された)請求額を全額支払わなくてよい内容の和解が成立して解決したもの

タイトル

宅建業者が売買を仲介した土地について契約不適合があり,この点について宅建業者としての重要事項説明義務違反があったとして買主に損害賠償を求める民事訴訟を提起されたものの請求額について支払う必要がない内容での和解が成立して解決した事例

概要

 ・企業の業種 宅地建物取引業(不動産業) 有限会社,宮崎市に本社がある。
 ・相談内容
 数年前に売買を仲介した土地の地下から埋設物が発見されたとして売主には契約不適合,当社には宅建業者としての重要事項説明義務違反があったとして民事訴訟を提起されたが,どのように対応すればよいか。

 ・解決方法
 顧問先企業(被告の1人)の訴訟代理人として原告側の請求には理由がないことを主張する答弁書,準備書面を提出する等して顧問先企業には重要事項説明義務違反等の債務不履行がないことを主張して,売主が買主より土地を買い戻すこと,顧問先企業はその費用を負担しないことを内容とする訴訟上の和解が成立して解決に至ったものである。

 ・解決までの期間
 依頼を受けてから訴訟上の和解成立までに約1年

事案と結果

長年買い手がつかない土地について売却の仲介を依頼された顧問先企業が買主を見つけて売却できたものの,その数年後に買主が土地を造成している最中に地中より埋設物がでてきたことから土地上に建築を予定していた建物が建築できない,建築できるとしても建築できる状態に戻すまでには相当の費用がかかるとして契約不適合があったとして売主に対する損害賠償請求,この売買の仲介をした顧問先企業に重要事項説明義務違反があったとして損害賠償請求をするという民事訴訟が提起された事案である。売主と仲介業者がともに買主から民事訴訟を提起されたケース。
 
 顧問先企業は土地の売買の仲介の依頼を受ける前に地中埋設物の存在については,把握していなかったとして重要事項説明義務違反を否定して責任がない旨を主張し,この主張を裁判所は採用しつつ,紛争の抜本的な解決のために売主が問題の土地を買い戻すという和解を提案して,売主・買主がこれに合意して売買代金についても折り合いがついて訴訟上の和解成立によって解決にいたりました。
 民事訴訟を提起されてから解決までに1年近くかかりましたが,顧問先企業は買主に対して1円も支払わないで済む内容での和解が成立したものです。

事案の詳細

本件では顧問先企業が土地の売却の仲介を依頼される際に売主より,本件土地について地中埋設物の存在は把握していないと売主が記載した告知書をとっており,同社が実際に把握していなかったことを主張・立証して,裁判所もこの主張を採用する形で売主と買主間での解決に向けた和解成立を目標にした訴訟指揮を行いました。顧問先企業には責任がないという前提での和解が勧められて,実際に売主が買主より問題の土地を買い取るという内容での和解が成立したものです。顧問先企業は買い取り代金の負担をしない内容での和解ですので顧問先企業は一切の責任がないという前提での和解となります。

弁護士の対応とアドバイス

顧問先企業を被告とする請求については請求額が少額であり,訴訟に対応するための時間・費用を考えると請求額を一括で支払って紛争から離脱するということも選択肢としては考えられた案件です。しかし,売主からは一切説明を受けておらず,また,その存在を「把握していない」との説明を受けている土地の地中埋設物の存在が後日判明したことによる責任を仲介業者に過ぎない顧問先企業に負わせるということには納得できないということで被告訴訟代理人として答弁書,準備書面を作成・提出する等して主張・立証を行うことにしました。顧問先企業は今までに訴訟を提起された経験がなく,応訴する時間,費用,精神的負担を考えた場合には弁護士を訴訟代理人として立てた方が良いという考えのもとに当事務所に対応を依頼されたものです。


 民事訴訟への対応,特に被告側については請求されている金額の大小に関わらず弁護士として対応する時間や労力はそれほど変わらないことが多く,このことから通常の訴訟と同程度の費用をいただかないとお受けできないケースがほとんどです。しかし,顧問先企業からの依頼の場合には顧問料を毎月いただいていることも踏まえて弁護士費用について割引等の柔軟な対応をさせていただいております。本件はそのようなケースの典型的なものであり,数万円の請求に対する訴訟への対応と月額の顧問料とを考慮した金額の負担について顧問先企業にご提案して,その内容にて対応させていただいたものです。
 少額の民事訴訟を提起された,代理人弁護士から文書が来たことによって精神的に参っておられる会社経営者の方が少なくありません。法的紛争への対応を代理人弁護士に依頼するという対応と同時に顧問契約を締結して紛争への対応コストを下げるとともに,紛争に巻き込まれた際には顧問弁護士に相談すればいいとの安心感,自社で紛争についての悩みや労力等の目に見えないコストを余計に抱え込まなくてもよい状態を作り上げると日々の経営により注力できる環境が作れるのでお勧めですよ。


 当事務所は,多くの会社,法人,個人事業主との顧問契約(100社以上)を締結しており,日々生じる会社経営者のお悩みや法律問題の解決に注力しております。
 ということで,顧問弁護士を選択する際に当事務所を選択肢の1つとしてご検討いただけると幸いです。


文責  弁護士 濵田 諭

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