事業承継への対応
事業承継時に起こりやすい問題ケースの要因別の整理
事業承継時に起こる問題は、承継までの会社運営のまずさが原因となるケース、相続の発生・贈与が原因となるケース、親族以外の第三者に事業承継を行う際に契約内容等の理解が不十分で起こるケースなど、要因ごとに整理できます。以下では問題が生じる要因ごとに整理してお伝えいたします。
(1)それまでの会社運営が要因となって起こるケース
そもそも会社の株式を誰が何株ずつ保有しているのかが把握できていない場合,スムーズな事業承継は望めません。
また会社経営をルールに沿って行っていない場合,例えば株主総会や取締役会は開催せず必要な時に議事録だけを作成している会社,従業員に対してきちんと残業代を支払っていない会社等では事業承継後に承継した方や承継した法人が法的リスクを抱えることになります。
(2)相続や贈与が要因となって起こるケース
相続がきっかけで株式が分散すると事業を承継した方の会社経営に支障を来たすことがありますし、そのような事態を避けるために何も考えずに後継者に株式を生前贈与してしまう場合や後継者だけが財産を相続する旨の遺言を作成したりした場合には相続が起きた時点で深刻なトラブルにつながることがあります。
(3)親族以外の第三者に事業承継をするケース
中小企業の中には後継者がおらず第三者に事業を譲渡する会社もあります。その際には誰にどのような条件で事業を譲渡するのかの検討が必要ですし,契約内容の理解や検討が不十分な場合には譲渡した後にトラブルになる可能性があります。
またM&Aに際して仲介業者を入れる場合には,この仲介業者との間で契約条件や報酬の算定方法についてきちんと確認をしておかないと意に反した事業譲渡になったり想定していたよりも多い対価を支払うことになったりします。
問題解決に向けて知っておくべき必要な対応
上記のように事業承継時に生じる問題は要因ごとに整理することができます。そして生じる要因ごとに必要な対応も異なってきます。要因ごとに最低限知っておくべき対応を把握しておくことで、大きな問題に発展する前に対策をうつことができます。
(1)それまでの会社運営のまずさが要因となるケース
株主や各株主の保有株式数の確認,それまでの会社運営にあたって必要が手続がとられてきたかどうかの確認,会社が労働基準法を始めとする各種法令に違反してきた事実がないかどうかの確認すなわちコンプライアンス違反がないかどうかの確認が必要です。
会社の定款に必要な定めがあるのか(株式譲渡制限や相続人への売渡請求等)も確認しておくと望ましくない株主が経営に参加するのを予防することができます。
(2)相続の発生や贈与が要因となるケース
誰が経営を引き継ぐのかを決めて,事業承継後の経営に支障が生じないように贈与や遺言を活用し,「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(経営円滑化法)の適用を受けるなどの対応が必要です。
(3)親族以外の第三者に事業承継するケース
事業承継の際に事業の買い手との間でどのような条件で契約をするのか,仲介業者を入れる場合には,その業者との間でどのような条件で仲介を依頼するのか等についてしっかり検討して臨む必要があります。
自社が現在,事業承継に向けてのフローのどの位置にいるのか,検討すべき問題やリスクについて正確に理解しつつ進めていく必要があります。
当事務所でサポートできること
当事務所では事業承継に関して疑問や不安をお持ちの経営者の皆様に向けて、各ケースに合わせたサポートが可能です。ご自身の事業承継を行ううえで抱えておられる問題に合わせて適宜最適な方法をアドバイスさせていただきます。
事業承継前の会社運営上の問題点の確認と改善のアドバイス
事業承継を視野に入れた場合に確認しておかなくてはいけないポイントをお伝えし,会社が十分に対応できていない点についてどのように対応すべきかについてアドバイスを差し上げます。
定款変更など適切な手続きを踏んで行わなくてはいけないテーマについてどのような変更をどのようなフローで行っていくのかを経営者の方と相談しながら進めていきます。
また会社法,労働法令への違反がないかどうかを中心にコンプライアンス上の問題がないかを検討し,改善すべき点があれば,どの点をどのように変えていくのかを経営者の方と一緒に考えながら進めてまいります。弁護士ならではのサービスになります。
遺言の活用等による相続・贈与問題の発生予防に向けたアドバイス
事業承継において生じる問題を視野に入れて問題が生じないような贈与,遺言の活用,経営円滑化法の特例利用などスムーズな事業承継,承継後の問題発生を避ける方法について経営者の皆様にアドバイスをしながら問題発生の予防,発生した場合の対処も視野に入れた対応を考え,実行に移します。この点も弁護士だからこそできるサービスであると思います。
親族以外の第三者への事業承継におけるリスクの少ない事業承継のご提案
仲介業者とは違う,事業承継を考える会社経営者の立場に立って最も有利で,かつリスクの少ない事業承継をお手伝いいたします。
初めての経験で不安であられる会社経営者の事業承継までの不安をうかがいながら,不安を抱かれる点について随時アドバイスをしながら目標である事業承継までの伴走者として活動いたします。依頼者のために活動する弁護士であるが故に提供できるサービスになります。
当事務所では上記のような事業承継に関するサービスはもちろん、企業経営において発生する法的課題について、顧問弁護士として貴社の経営をサポートすることも可能です。顧問弁護士として長期的に関与をさせていただくことで、問題が発生したタイミングでの処置的な対応ではなく、問題が発生しないための体制構築を行うことができます。ご興味のある経営者様はぜひ一度ご相談ください。