不動産取引(売買・賃貸借)をめぐる紛争
1.不動産取引紛争で必要とされる対応とは?
不動産取引をめぐる紛争は多くの弁護士が取り扱っている分野であり,一般民事という大きい分野に括られることの多い分野です。
しかし、紛争の予防、紛争が起きた場合に迅速かつ適切な対応を行って紛争を解決に導くには不動産売買,不動産賃貸の取引の流れや取引実務を知り、宅建業法を始めとする各種法令の知識を有し、かつ不動産取引をめぐる係争案件を多く解決した経験が必要となります。
以下、今までの経験を踏まえて取引類型ごとに特徴とそれを踏まえて必要とされる対応をお話しします。
① 不動産売買の場合
多額の現金が動きますし,マイホームの購入のように一般の方にとっては一生のうちに1回しかないことが多い取引もあります。
このことから紛争に発展すると多額の損害賠償請求権の有無が争点となることや紛争解決までに数年を要する事態になることがあります。
取引をするのかどうかを慎重に検討し,取引をする場合にはリスクを予想した上でそれをケアして取引を行うという事前の対応と取引が終わった後に判明した事態を踏まえてどのような請求をするのか,またはどのような請求が来ているのかを正確に理解して紛争の迅速かつ適切な解決を目指すことが必要となります。
② 不動産賃貸借の場合
事業用の賃貸借の場合には、どの契約類型を選びどのような契約内容にするのかが重要です。特に建物を上に建築することを予定した土地賃貸借契約の場合には、このポイントが重要です。
どのような目的でどのような建物を建てて何年後にどのような状態で土地を返すのかをきちんと検討して賃貸借契約を締結しないといけません。
紛争に発展した後は、契約が予定していた状態と現在の状態を比較して争点を的確に把握してどのような主張をするのか又は主張をされているのか、それらを裏付ける証拠はあるのかを検討して適切なアクションを起こす必要があります。
個人間または借主が個人の居住用建物の賃貸借契約の場合には契約した後の建物の使用収益の状態,賃料の支払い状況が問題になることが多く、賃貸借契約終了後は原状回復や敷金返還といった問題が生じることが多いです。
契約が残っている間は貸主と借主との継続的な信頼関係が維持できるかどうかがポイントになります。紛争になってしまった場合、壊れてしまった信頼関係を元に戻すことは難しいので契約解消の方向で調整するケースが多いところです。
どのような条件で契約を解消するのかが最も悩ましいところになります。ここで条件の調整を図って契約解消を前提とする解決を図る能力が貸主側の代理人には要求されます。
③ 媒介契約(仲介契約)の場合
特に売買契約において仲介に入った宅建業者は自身の業務が業者として要求されている水準に達しているのかを意識しながら業務を行う必要があります。宅建業法やその施行規則、ガイドラインは社会情勢に従い,刻々と変化していきますので都度、キャッチアップしていかないといけません。
弁護士には実務上重要な法律、規則、ガイドラインを理解し、それを遵守するために何をすべきかを適切に業者にアドバイスをすることが要求されますし、紛争時には業者の対応に問題がなかったかを正確に検証して、今後のリスクを予測し適切な落としどころを提案する能力が要求されます。
2.紛争を起こさないために必要な対策
不動産取引において紛争を起こさないために必要な対策について、下記の通りターゲット別に解説をしております。
①契約当事者(売主,買主,貸主,借主となっている一般の方)
契約内容や契約の目的物が契約において自分の求めている目的(契約の目的)と合致しているのかをきちんと理解し、既に契約書や宅建業者が作成した重要事項説明書を受け取っている場合には、その内容が自分にとって不利なものになっていないのかを検証する必要があります。
取引のフローの中でどの位置にいるのかを把握して、要望や不安がある場合にはそれを書面にしておくのが良いと思います。
②宅地建物取引業者
不動産の売主となる場合も仲介業者として関与する場合も業者として要求されている高度の注意義務を果たせているのかを意識しながら取引をしていく必要があります。
適切な調査をしているのか、調査を踏まえた説明をしているのか、契約当事者が望んでいる条件を契約書等に落とし込めているのかをきちんと検証しながら取引を成約に導いていきましょう。
3.当事務所でサポートできること
当事務所では不動産取引に関する紛争対応をはじめとしたサポートを行っております。現在約70社の顧問先様のなかでも、不動産業界の企業様が複数あり、宅建業法等の関連法令を熟知した弁護士が、過去の対応ノウハウを生かしてサポートをさせていただきますので、不動産取引についてお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください。
①契約当事者の方(宅建業者以外の一般の方)
不動産取引に先行して契約書等の書面のチェックを行いリスク判断やリスク回避をするための対応をアドバイスするという予防的な対応をいたします。
紛争に発展した案件,紛争の発展する可能性が高まっている案件について今後の紛争解決を見通して今、何をすべきかをお伝えし、代理人として交渉業務、訴訟代理人業務などを行います。
②宅地建物取引業者の方
不動産取引に先行して、契約当事者、仲介業者として求められている対応ができているのか、対応が不十分であればどの点をフォローしなくてはいけないのかをお伝えし適切な業務遂行をお手伝いします。単発の相談や業務の依頼もお受けしています。
常日頃から業者として適切な業務遂行をしていきたい方々には顧問業務として皆様の日常の相談(業者ご自身の相談と管理などで関与されている不動産のオーナー様の相談)に対応することも可能です。この対応には顧問契約を締結していただく必要があります。
また紛争に発展した場合には業者の皆様の代理人として交渉業務や訴訟代理人業務を行います。宅建業者として争うべきところは徹底的に争い、紛争の抜本的な解決にあたって譲歩すべき点は譲歩し、業者の立場に立って適切な解決をサポートいたします。
当事務所では上記のような不動産取引に関するサービスはもちろん、企業経営において発生する法的課題について、顧問弁護士として貴社の経営をサポートすることも可能です。
顧問弁護士として長期的に関与をさせていただくことで、問題が発生したタイミングでの処置的な対応ではなく、問題が発生しないための体制構築を行うことができます。
ご興味のある経営者様はぜひ一度ご相談ください。