不動産・宅建業の経営者様へ
不動産業を取り巻く現状
不動産業の特徴
一口に不動産業といっても宅建業,不動産のオーナーとして賃料収入を得て生活をしている方,
こういったオーナーから不動産管理を依頼して管理業務を行う不動産管理業と様々な業種があります。
平成28年6月の統計資料によると不動産業全体の一事業所あたりの平均従業員数は3.6名で建設業の7.5名,卸売業・小売業の8.7名と比較しても少なく小規模な事業規模で経営されている個人事業主,法人が多いといえます。
これは製造業・小売業のように仕入れに費用がかかる事業ではないことから少ない経費で維持・運営することが可能であり,宅地建物取引士資格を有していれば人の雇用も最小限で開業することが可能だからだと思います。
また不動産業の中でも宅建業においては取引対象である不動産の価格によって仲介手数料がかなり高額となりますし,不動産売買においては売却益がかなり大きくなるケースもありますので自社所有物件があれば規模が小さくても大きい収益を上げることができる事業ではないでしょうか。
業者間の横のつながりの重要性
不動産の売買市場においては,不動産の所有者から不動産を預かって買い手を探す売主側の仲介業者と,自分で利用すること(居住用・事業用)または収益を得ることを期待して不動産を見つけてほしいという依頼を受けてめぼしい不動産を探す買主側の仲介業者がそれぞれ稼働しており,通常の宅建業者はこの2つのいずれの立場でも稼働しているのが通常です。
このような状況下においては売りたい方の売りたいニーズと買いたい側の買いたいニーズのいずれの情報にも価値があることから,こういった情報にアクセスしやすくするために業者間のポータルサイトに登録したり業界団体で活動したり,懇意にしている業者間で定期的に会合を持って情報交換をしたりしておられます。
また業者間の関係を良好に保っておき,情報が集まる場所へ足を運ぶようにしておくと取引の機会に恵まれることが多くなり,前述のような大きい価値を生み出す取引に関わる確率が上がります。
このことから宅建業者間での紛争は極力避けたいとの思いが各業者にはあるように思われます。宅建業においては業者間において持ちつ持たれつの関係があることが多く,そういった点も理解しておく必要があると思います。
法的紛争リスクの存在
不動産業においては特に売買においては取引の対象となる不動産が高額であること,取引に問題が生じた場合の損害額が高額になること,取引に業者以外が関与する場合(マイホームの購入など)には対象物件への期待・思い入れが強く,それが裏切られた場合には強い負の感情が生じて紛争を劇化させる契機となることなどが指摘できます。
また不動産オーナーとしての賃貸業,賃貸業を営むオーナーからの依頼で管理を行う不動産管理業者においては継続的な信頼関係を基礎とする賃貸者契約を扱うが故に日常的にトラブル対処の必要が生じますし,契約違反が生じた場合にも逐一適切な対処をする必要が生じます。
端的に言いますと法的なトラブルの可能性を常に抱えているといえます。
不動産業が抱える法的リスク
不動産業を営むうえでの法的リスクについては売買を扱う場合と、
賃貸を扱う場合で異なります。
ここではそれぞれに分けてパターン別での法的リスクを解説します。
不動産売買の当事者・仲介に入る場合
不動産売買においては契約とその履行は賃貸借契約とは違って単発で終わりますが,取引対象となる不動産が高額であること,対象不動産に契約不適合(旧民法でいう「瑕疵」があったかどうかが争いになる場合には大きい金額の支払い義務を巡った裁判にまで至るケースが多くなります。
そして,この取引に契約当事者の仲介業者として関わった宅建業者は宅建業法35条の重要事項説明を行ったのか,その前提としての調査をしっかり行ったのかが検証され,契約当事者と同時に紛争に巻き込まれる可能性があります。
自社物件を売却する,自社物件用として購入するといった取引当事者となる場合も不動産売買の仲介に入る場合も契約内容,対象物件の調査・説明には十分な注意を支払わないと法的なリスクが高いと言えます。
不動産を賃貸する場合,賃貸物件の管理を行う場合
一方,不動産賃貸借契約においては不動産の使用収益の対価を月単位で(年単位で支払う契約もありますが)賃料としてやり取りをして,賃貸人は修繕義務などの管理責任を負うことになります。契約期間も複数年であることが通常であり,継続的な信頼関係をベースに成り立っている契約であると評価されます。
そして日常的に生じる問題についてはオーナーやオーナーの依頼を受けた管理会社において適切な対応をしないと賃料収入という収益の源泉を提供している賃借人の退去を招く可能性が高くなりますし,管理の行き届いていない不動産について賃貸借契約が終了した場合の原状回復・敷金の精算の際に深刻な争いを招くことになります。
また不動産を賃貸していると賃料の不払いなどの不誠実な行動をとる賃借人との関係で契約を解消したい,契約を解消してより誠実な方に借りてほしいというオーナーや管理会社はおられますが,賃貸借契約の解除・明渡請求については裁判での解決まで視野に入れて対応しなくてはいけないケースが多いところです。
当事務所の強み
不動産取引紛争への対応についての経験が多い弁護士が対応
私自身,宮崎県内の宅建業の業界団体の顧問弁護士として10年以上にわたって宅建業に携わる皆様からの生の声を聴き不動産取引の日常のフローを理解する機会を頂き,団体に寄せられる苦情の内容について相談を受けて紛争の解決についてアドバイスをして来ました。
また.こういったご縁もあって実際に不動産取引をめぐる紛争について宅建業者側,オーナー側の代理人として多くの交渉案件・訴訟案件に関わってきました。このような経験は実際に紛争に至ったケースではもちろん,予防をメインとする顧問業務においても生きていると思います。
迅速な対応
不動産業の皆様からの依頼のみならず多くの法人の顧問業務を担当しておりますが,相談があれば迅速に回答をすること,回答に時間を要する場合には回答時期の目途をお伝えし,それよりも早いタイミングで回答をすることを心がけております。
法的な悩みを抱えておられる方々にとって回答が得られない,回答がいつ得られるかわからない状態で過ごされる時間は苦痛であられるのではないかと思いますし,そのような時間を極力短くするというのが私自身の顧問弁護士としてのモットーです。
丁寧かつ正確な説明
顧問契約をいただいている法人の皆様から相談や問い合わせを受けた場合,現在おかれている状況,今対応すべきこと,どうしてそのような対応をすべきなのか,今後の見通しなどについて丁寧かつ正確な説明をするようにしております。
これは不動産業に関わる皆様の顧問業務を行う場合,単発の紛争案件の依頼を受けた場合にも例外ではありません。
当事務所の顧問プラン
当事務所では、不動産賃貸借契約のオーナー様には当事務所が信頼できる管理会社をご紹介し,日常の管理業務は管理会社,そこから生じる法的紛争やその予防に向けてのアドバイスは当事務所という形で役割分担をして対応しております。
また,宅建業の皆様には重要事項説明書や告知書といった宅建業独自の書類のチェックや助言についても顧問業務として提供させていただいております。
弁護士との顧問契約をご検討されている不動産・宅建業の経営者様はぜひ一度ご相談ください。