宅建業の法律問題2
宅建業の業界団体の顧問弁護士を務める浜ちゃん、今日は10年ほど懇意にしている不動産会社FのG社長と昨年のセミナーのことについて振り返っています。
今回は第2回セミナーについてです。
浜ちゃん先生
「今回は第2回セミナーについて振り返ろうと思います。」
G社長
「この回は不動産賃貸借契約に関わる改正点でしたね。」
浜ちゃん先生
「そうですね。実務上はもっとも影響が大きい改正点があり,そこを中心にお話ししたところでした。内容を覚えていますか?」
G社長
「まず連帯保証についての極度額についての改正点がありましたね。不動産賃貸借契約の連帯保証人については保証の限度額,え~と,多分「極度額」といったと思うんですけど,これを定めないと保証契約が無効になるという話でした。」
浜ちゃん先生
「そうです。良く覚えておられますね。極度額規制が導入されるのはいつ以降でしたか?」
G社長
「2020年4月1日以降に締結された不動産賃貸借契約についての連帯保証と,2020年4月1日以降に合意更新された不動産賃貸借契約についての連帯保証に極度額を定めないと無効になるという話でした。」
浜ちゃん先生
「極度額については制限がありましたか?」
G社長
「上限等の制限はなかったですが,賃料の1年~2年分くらいにするのが妥当ではないかとの話でした。」
浜ちゃん先生
「そうですね。他の改正点について覚えていますか?」
G社長
「保証人に対して一定の情報を提供する義務が定められたという話がありました。」
浜ちゃん先生
「どのような義務でしたか?まず事業のために負担する債務の個人根保証契約についてだけ定められている義務は誰が誰に対して負っている義務でしたか?」
G社長
「主債務者,賃貸借契約でいうと賃借人が連帯保証人に負っている義務でした?」
浜ちゃん先生
「どんなことを連帯保証人に伝えなくてはいけないのでしたか?」
G社長
「賃貸人の財産及び収支の状況,賃貸借契約に基づく債務以外に負っている債務の有無やその額,履行状況に伝えなくてはいけないという話でした。」
浜ちゃん先生
「これを伝えていないとどのような事態が生じますか?」
G社長
「連帯保証人は賃貸人との連帯保証契約を取り消すことができます。」
浜ちゃん先生
「賃貸人からすると自分が関与していない賃借人と連帯保証人の関係で保証契約を取り消されて,保証人がいなくなるリスクがありますよね?この点をどうケアすればよかったですか?」
G社長
「賃借人が連帯保証人に対して,賃貸借契約を締結する前に民法に定める情報提供を行ったことを賃貸人に表明保証する条項を活用するのが良いのではないかとの話でした。」
浜ちゃん先生
「他に連帯保証人への情報提供についての定めはありませんでしたか?」
G社長
「連帯保証人が賃貸人に対して賃借人の賃料支払い状況についての問い合わせがあればそれに回答しなくてはいけないという定めがされたとの話でした。」
浜ちゃん先生
「賃貸人がそれに応じないとどうなりますか?」
G社長
「保証契約が解除される可能性があるという話でした。」
浜ちゃん先生
「連帯保証人から賃貸人に賃料の支払い状況等について期間を定めて教えてくれるよう催告をし,その期間内に教えてくれない場合には保証契約を解除するという対応が考えられるという話ですね。」
G社長
「やはり今回の改正を踏まえて実務上,連帯保証については対応が必要ですね。」
浜ちゃん先生
「宅建業者が加入している業界団体が用意している不動産賃貸借契約のひな型には既に極度額の定めをするような条項が入っておりますので,それを利用すれば問題は少ないと思います。」
G社長
「連帯保証人の情報提供義務についてはどうですか?」
浜ちゃん先生
「この点も契約書ひな型に反映されているので,まずはそれを利用して,例外的な事態が生じた場合に契約書に手を入れるという話になりますね。」
G社長
「わかりました。次回は不動産賃貸借契約に関わる改正についての続きを聞かせてください。」
浜ちゃん先生
「了解しました。次回もよろしくお願いいたします。」
執筆者 弁護士法人みなみ総合法律事務所 弁護士 浜田 諭