情報通信業における法律相談・トラブルとその対策について弁護士が解説

 当事務所は情報通信業の会社から相談を受けること、この業種の会社の顧問業務を担当しているのですが、労務問題についての相談がほとんどですので労務問題を中心にお話ししていきます。

1. 情報通信業におけるよくあるご相談

情報通信業、特に受託開発やSES(システムエンジニアリングサービス)を主業とする企業から寄せられるご相談は、近年、明確な傾向を見せています。

(1)「裁量労働制」や「固定残業代」の有効性をめぐるトラブル

多くの企業が導入していますが、運用の実態が伴わず、退職した従業員から数年分(3年以上在籍していた社員の多くのケースでは3年分)の未払い残業代を請求されるケースが後を絶ちません。

(2)メンタルヘルスと休職対応

納期直前の高負荷な業務により、エンジニアが適応障害やうつ病を発症した際の対応、および復職判断の難しさに関する相談です。

(3)技術者の「引き抜き」と秘密保持

退職した役員やエース級のエンジニアが、競合他社へ転職したり、自ら起業して既存顧客を奪取したりする問題です。

(4)多重下請け構造における「偽装請負」

現場での指揮命令系統が不適切であるとして、労働局や労働基準監督署から是正指導を受ける、あるいは準委任契約のはずが労働契約としての権利を主張されるトラブルです。


2. 情報通信業の特徴

情報通信業の労務管理を難しくしているのは、この業界特有の構造にあります。

① 「人」こそが最大の資産であり、最大のリスク

製造業のような巨大な設備を持たないIT企業にとって、エンジニアの知見やスキルこそが売上の源泉です。しかし、その資産(人)は流動性が高く、ノウハウ(知的財産)を頭の中に保持したまま容易に移動できてしまうという特徴があります。

② 業務の専門性とブラックボックス化

業務内容が高度に専門化されているため、経営者や人事担当者が現場の労働実態(業務量や進捗)を正確に把握しにくいという側面があります。これが「見えない長時間労働」を生む土壌となります。

③ 納期への強いプレッシャー

プロジェクト単位での動きが基本となるため、リリース直前に業務が集中します。この「波」の激しさが、労働法上の時間管理や休日設定とのコンフリクト(衝突)を発生させます。


3. 情報通信業における法的トラブル

具体的によく発生するトラブルの構図と、その破壊力を整理しましょう。

(1)労働時間管理を巡る「残業代請求」

 情報通信業では「裁量労働制」を採用しているケースが多いですが、制度導入の要件(専門業務型裁量労働制など)を厳密に満たしていない場合、制度全体が無効と判断されます。

一度無効とされれば、過去数年に遡って全従業員の残業代を再計算することになり、数百万円から1,000万円を超える支払い命令が下るケースも珍しくありません。これは経営を揺るがす「隠れた債務」です。

(2)メンタルヘルス不調と安全配慮義務違反

納期遅延を防ぐために無理な労働を強いた結果、従業員が健康を害した場合、会社は「安全配慮義務違反」を問われます。特にIT業界は脳・心臓疾患や精神疾患の労災認定基準に該当しやすく、高額な慰謝料請求に加え、「ブラック企業」としてのレピュテーションリスク(評判被害)は新しい社員、エンジニアの採用力に致命的なダメージを与えます。

(3)退職後の競業行為と機密漏洩

「元従業員がソースコードを持ち出し、酷似したサービスを低価格で展開する」といったトラブルです。入社時・退職時の誓約書が形骸化している場合、元従業員側が主張する職業選択の自由(憲法22条1項)という壁に阻まれ、法的に差し止めや損害賠償を勝ち取るのは至難の業となります。


4. 情報通信業で弁護士に相談するメリット

「トラブルが起きてから弁護士を呼ぶ」のは、ITの世界で言えば「バックアップを取っていない状態でメインサーバーを物理的に破壊されてから対応を行う」ようなものです。予防法務こそが、最大のコスト削減になります。

 なおIT企業からの依頼で会社のサーバーのデータを意図的に削除して会社に損害を与えた社員に対して損害賠償請求を内容とする民事訴訟を提起し、会社の主張額満額の支払いを認める判決を裁判所からもらったケースも実際ありますので(私が会社側の代理人として対応した案件です)、あながち大げさな例えでもないと思います。

 話が脱線しましたので弁護士に相談するメリットに話を戻して進めていきます。

(1)実態に即した「就業規則」などの各種規定等の構築

貴社の開発スタイル(アジャイル、ウォーターフォール等)や勤務形態に合わせ、法的に有効な就業規則や賃金規定を設計します。特に「固定残業代」の有効性を担保する条項作成や日々の労務管理の徹底は、将来の社員(元社員)への高額な未払い賃金等の支払いを防ぐための「保険」となります。

(2)ハラスメント・メンタル対応の外部窓口

 現場の風通しが悪くなりがちなIT現場において、第三者の弁護士が相談窓口となることで、問題が深刻化(訴訟化)する前に芽を摘むことが可能です。この窓口業務は会社の顧問弁護士というトラブル発生時に会社側の代理人として業務を行うことが弁護士ではなく、他の事務所に所属する弁護士に依頼するのが適切だと思います。

 外部窓口を担当する弁護士が社員側の相談に対応してしまったことで会社側の相談、代理人をできなくなるという利益相反の問題を避けるためです。

(3)「攻め」の知的財産・営業秘密管理

単なる秘密保持契約(NDA)だけでなく、エンジニアの離職に伴うリスクを最小化するためのスキームを構築します。これには、業務委託契約の適正化による「偽装請負」リスクの回避も含まれます。


5.当事務所のサポート内容

 具体的なサポート内容は顧問プランの詳細をご覧いただきたいのですが、月額5万円(税別)のプランで会社において日常生じる問題への対応はほとんどカバーできると思います。

 当事務所は情報通信業を営む会社の顧問業務も行っておりますので会社の実情やニーズに応じたきめ細やかな対応が可能です。

 顧問税理士もいる、顧問の社労士もいる、そろそろ顧問弁護士を依頼したいという会社の経営者の皆様のニーズにお応えできると思います。

6.当事務所に依頼するメリット

 当事務所は各弁護士が全ての業務を行い、そのようなジェネラリストの弁護士が集まっているという法律事務所ではなく各弁護士が担当する業務を集中して行うという地方都市では珍しいタイプの法律事務所です。このような事務所であるが故に各弁護士が集中して対応する業務においてはより迅速に、かつ、より適切なサービスを提供できていると考えております。会社の顧問弁護士業務については、その最たる分野だと思います。

 宮崎県で情報通信業の会社の経営者の皆様、顧問契約をお考えの際には当事務所にご相談ください。

文責  弁護士 濵田 諭

  • 顧問弁護士の活用事例

    詳しくはこちら

  • 顧問先の声

    詳しくはこちら

  • 当事務所の顧問弁護士の特徴

    詳しくはこちら

  • 顧問先のご紹介

    詳しくはこちら

  • 顧問弁護士の活用事例
  • 当事務所の顧問弁護士の特徴
  • 顧問先の声
  • 顧問先のご紹介