宅建業の法律問題

宅建業の業界団体の顧問弁護士を務める浜ちゃん、今日は10年ほど懇意にしている不動産会社FのG社長と昨年のセミナーのことについて振り返っています。

 

今回は第1回セミナーについてです。

 

浜ちゃん先生

「昨年は宅建業の方向けに民法の債権法改正部分についてのセミナーを1年に渡って4回に分けて実施しましたが,いかがでしたか?」

 

G社長
「宅建業に関わる者として知っておくべき民法改正の知識について時間をかけて学ぶ機会になったので良かったと思います。」

 

浜ちゃん先生
「今回は昨年のセミナーの第1回でどのような改正点を取り上げたのかを振り返ってみましょう。」


G社長
「第1回ですが,債権管理に関わる改正点でしたね?」

 

浜ちゃん先生
「そうです。時効に関する改正点と利息に関する改正点を取り上げました。」

 

G社長
「この2点については宅建業に関わる我々以外にとっても重要な改正なんじゃないですか?」

 

浜ちゃん先生
「その通りです。債権管理に関わる改正点は宅建業のみならず,ほぼすべての事業者・法人にとって重要な改正になります。」

 

G社長
「債権管理という面で最も重要な改正点はどこですか?」

 

浜ちゃん先生
「最も重要なのは消滅時効の期間について主観的起算点すなわち権利を行使できることを知った時から5年で消滅時効にかかるようになったところです。改正民法の第166条の1項1号です。」

 

G社長
「損害賠償請求権等の特別な債権以外の債権,特に契約に基づいて発生する債権のほとんどについては権利を行使できる時点と権利を行使できることそ知った時点が一致するので時効期間が5年に短縮されたのと同じ結果になるという話でした。」

 

浜ちゃん先生
「良く覚えておられますね(驚)。そのとおりです。」

 

G社長

「何か今までの条文がなくなってスッキリするという話をされていたと思うのですが・・」

 

浜ちゃん先生

「職業別の短期消滅時効がすべて廃止されますので,スッキリするとの話をしました。現在の民法では請負代金は3年,飲食店の掛けは1年等々,職業や仕事の内容によって時効期間が違っていて債権管理が煩雑だったのですが,それが権利を行使できることを知ってから5年,権利を行使できるところから10年というシンプル内容に変わりました。債権管理は楽になりますね。」

 

G社長
「現在の民法下でも商行為によって生じた債権の消滅時効期間は5年でしたよね?」

 

浜ちゃん
「そうです。その5年というのは商法に条文があるのですが(商法522条),この条文は廃止されます。」

 

G社長
「賃貸借契約に基づく賃料債権はどうでしたか?」

浜ちゃん先生
「現在の民法では定期給付金債権として弁済期の到来から5年という民法169条が存在していますが,これが廃止されます。ただ,改正民法下でも弁済期の到来が権利を行使できるときであり,かつ権利を行使できるのを知った時期となりますので,ここから5年で消滅時効にかかるという点では改正後の民法でも変わりませんね。この点において現在の民法でも改正民法でも結論は変わらないことになります。」

 

G社長
「マンションの管理費についても同様ですね。」

 

浜ちゃん先生
「そうですね。」

 

G社長
「時効に関して改正民法では用語が変わるという話をされていましたよね?」

 

浜ちゃん先生
「時効の「中断」と呼ばれているものが時効の「更新」となり,時効の「完成猶予」という表現に変わるという話ですね。時効期間がリセットされてしまうのが現在の民法の「中断」ですから,改正民法の「更新」という表現の方がしっくりいくのではという話をしましたね。」

 

G社長
「法定利率については変動利率になるという話でしたね?」

 

浜ちゃん先生
「そうです。2020年4月1日施行時の利率は年利何%だったか覚えていますか?」

G社長
「今が5%で,それが現在の金利よりも高すぎるから・・・という話だったので,うーん3%でしたかね。」

 

浜ちゃん先生
「正解です。3%からスタートして以後3年ごとに法定利率の見直しを行うということです。」

 

G社長
「見直しの方法はどうでしたかね?」

 

浜ちゃん先生

「過去5年間(60ヶ月)の短期貸付利率の平均利率を算出して,その平均利率がその前の時点の平均利率と1%以上の乖離が生じたときに,乖離率の1%未満を切り捨てて1%単位で変動させるということですね。」

 

G社長
「今回は第1回のセミナー内容の振り返りが出来て良かったです。」

 

浜ちゃん先生
「いえいえ,セミナー内容をG社長が良く覚えておられて驚きました。次回は第2回セミナーの内容を振り返ってみましょう。次回もよろしくお願いいたします。」


執筆者 弁護士法人みなみ総合法律事務所 弁護士 浜田 諭